2014年6月30日月曜日

2014-7 S.J.C.D.インターナショナル合同例会in新潟 プログラム

2014年7月20日(日)〜21日(月祝)に新潟市朱鷺メッセにて開催するS.J.C.D.インターナショナル第5回合同例会のプログラム(抄録集)を当日スマートフォンやタブレット端末からもご覧いただけるよう、ブログ形式にてアップしてみました。

PDF形式のファイルはこちらです。
専用ホームページはこちらです。

00タイムスケジュール

7月20日(日)

09:30~10:00 合同例会開会式
10:50~11:00  休憩
12:15~13:15  昼食
14:05~14:15  休憩
15:30~15:40  休憩
16:30~16:40  休憩
18:30~20:30  懇親会・表彰式

7月21日(月)

12:30~13:00 合同例会閉会式

ごあいさつ-1 山﨑長郎 S.J.C.D.インターナショナル会長

第5回目の合同例会が新潟で開催される事となりました。
会員の皆様には、新潟の地に奮って参加していただく事をお願いいたします。
SJCDの素晴らしいケースプレゼンテーションと忌憚のないディスカッションを期待しています。
又、今回は細山先生をはじめ新潟SJCDが総力を挙げて新しい企画を実行しようとしています。これが全国の先生方に受け入れられれば、合同例会の改革・改良がなされる事になるでしょう。
臨床発表及び様々な講演がどの様な結果になるか私自身も非常に楽しみにしています。

SJCDインターナショナル会長 山﨑長郎

ごあいさつ-2 本多正明 S.J.C.D.インターナショナル副会長

北海道からスタートしたSJCD合同例会が早くも第5回目として、新潟で開催されることになり、全国のSJCD会員は、どの様な発表があるか、楽しみにしています。
また今回は、新潟SJCDのメンバーの尽力によって、会員発表以外に、一般市民への公開セミナー、そしてSJCDInternationalローカルセミナーセッションと題し、歯科臨床の知識や技術を越えたところの話を聞けることは、これからの歯科界を担って行く次世代の人達にとって、大いに参考になることでしょう。
今回もまた、全国から多くのメンバーが参加してくれることを願い、再会できることを非常に楽しみにしています。
そしてSJCDがより素晴らしい発展をし、歯科界に貢献してくれることを願っています。
SJCDインターナショナル副会長 本多正明

ごあいさつ-3 大会長 細山愃

本大会では全国のSJCD会員の総力を挙げた口演で、歯科医学の全分野を網羅しその実現に必要となる研究、治療、先端医療の検証と、議論できる場を提供致します。
また、新企画のSJCDセッションでは、ゆったりとした気持ちで理事方々の生き方、医療思想、人生論等をフェースツーフェースでコーヒーでも飲みながら語って頂く場も用意しました。特別講演として、このセッションではSJCDインターナショナル総帥の山﨑長郎先生が「我が歯科医師としての人生を振り返る」と題して語って下さいます。
SJCDの発展と推進を志す先生方に多数ご参加いただけますように準備をしてきました。新潟SJCD一同、充実した大会となるように頑張ってまいります。協賛企業展示を十分にみて頂けるようにスケジュールしました。全会員の交流を深めて頂くよい場となり、皆様の大会参加が充実した時となることを期待します。心よりお待ちしております。
第5回SJCDインターナショナル合同例会大会長 細山愃

01内山徹哉(東京) Maxillofacial analysis 〜予知性のある包括的歯科治療をめざして

日曜日10:00~10:25
発表者:内山徹哉   東京都港区開業
所属:東京SJCD
カテゴリー:コンベンショナル
座長:木原敏裕

妊婦健診の際に局所に進行した歯周病を認めた36歳女性の患者。妊娠中ということもあり、当初より積極的治療を控え、極力保存的な治療を行った。咬合の不調和による歯周病の増悪が考えられた為、矯正科医に依頼し咬合の改善を試みた。その間、第二子の妊娠出産等により治療の一時中断を余儀なくされたが、TBIやディプラーキングなどを適宜行い、最後は本人の弛まない努力により歯周の状況が改善した。矯正治療後は補綴等による治療もほとんど行わず、咬合調整やレジン充填等MIにより最終的な咬合の安定及び歯周組織の安定を試みた。

02高橋忠弘(北陸) MI concept therapy

日曜日10:25~10:50
発表者:高橋忠弘   石川県金沢市開業
所属:北陸SJCD
カテゴリー:コンベンショナル
座長:木原敏裕

予知性のある治療を患者に提供することは歯科医師の最も重要な責任であり、同時に臨床家として歯科治療を行っていく限り向き合っていかなければならない宿命でもある。
特に咬合再構成を伴う口腔内の大幅な構造改変を必要とする症例において、その予知性を獲得するためには包括的診断能力と、実際に自分の考える理想像を具現化できる技術が必要になる。
今回、包括的歯科治療における診断方法と、それにより導き出された治療目標をいかにして口腔内に移し替えていくのかを実際の症例を通じて説明していく。

03米田晋也(京都) 咬合面再構成における下顎前歯部へのアプローチとその重要性ーSJCDコンセプトを学んで4年、少しずつ見えてきたことー

日曜日11:00~11:25
発表者:米田晋也   大阪府東大阪市開業
所属:京都SJCD
カテゴリー:コンベンショナル
座長:鈴木真名

歯列や咬合の不正は、日常の歯科治療を複雑にさせる要因となっている。成人の矯正症例の中には、すでに多くの歯冠修復処置が行われており欠損の存在などにより病態が複雑となっていることも多い。
また患者の心理的な面からは、矯正治療の希望理由は多岐にわたり審美的要求も高いように思う。診断からは外科矯正が検討されても同意は得られない場合も多く固定源や修復法・補綴設計を考慮すると通法の矯正治療とは異なったアプローチが必要となる。当然矯正治療終了後の修復治療をふまえ種々の配慮が必要となり、そのため修復を行う担当医と矯正医との綿密な治療連携が望まれる。
今回、治療目標の設定の段階から矯正医と連携して取り組んだ症例について最終補綴修復から8年の経過をふまえ報告したい。

04川畑正樹(福岡) 矯正医とのインターディシプリナリー

日曜日11:25~11:50
発表者:川畑正樹   鹿児島県枕崎市開業
所属:福岡SJCD
カテゴリー:コンベンショナル
座長:鈴木真名

自ら行う治療の結果に対する永続性を求めてSJCDの門を叩いたのが4年前。諸先輩方の審美と機能を兼ね備えた症例と比較するとまだまだ物足りなさを感じることが多い。そんな自分の詰めの甘さの一つとして「下顎前歯部へのアプローチ」があった。
下顎前歯部は咬合崩壊症例においても最後まで天然歯が残存するケースが多く患者術者両者にとって治療対象として、ともすれば見落としがちな部位である。ただこの部位に手をつけるか否かが治療のクオリティーを左右するケースは少なくないと思われる。
今回提示させて頂く症例は39歳男性、カリエスとぺリオのリスクを併せ持つ咬合崩壊症例である。本症例の咬合再構成を通して下顎前歯部へのアプローチとその重要性について考察したので報告したい。

05河合竜佐(四国) 矯正治療によりアンテリアガイダンスを獲得し咬合の安定を目指した症例

日曜日11:50~12:15
発表者:河合竜佐   高知県土佐市開業
所属:四国SJCD
カテゴリー:コンベンショナル
座長:土屋賢司

咬合崩壊症例において、我々歯科医師が与えた治療咬合が長期に安定することは、患者と歯科医師にとって共通のゴールである。
そのための要件として、①適切な下顎位(咬合高径、水平的な位置)②アンテリアガイダンスの確立(円滑な下顎運動)③バーティカルストップの確立(下顎位の維持)について考慮しなければならない。
8020達成者の咬合状態、骨格パターンを調査した論文によると咬合支持の有無だけでなくガイダンスの有無が歯の残存と大きく関係していることが報告されている。つまり歯列不正によりアンテリアガイダンスが欠如している場合は、矯正治療にて改善することが重要である。また欠損においてはインプラントの埋入が可能であれば、強固なバーティカルストップが確立されると同時に歯列弓の連続性も保たれる。また良好な臼歯部咬合面形態を付与することにより咬頭嵌合位は長期にわたって安定する。これらの要件は相互に関わり合っていて、どれか一つが欠如しても治療咬合の長期安定は望めないと考えられる。
今回、歯列不正による環境改善を行わずに歯科治療を繰り返し、咬合崩壊に至ったと考えられる患者を、矯正治療と補綴治療により咬合再構成した症例を発表して、皆様のご意見とご指導を頂きたいと思います。

06岩田淳(大阪) 機能との調和を目指した審美修復治療

日曜日11:50~12:15
発表者:岩田淳  奈良県橿原市勤務
所属:大阪SJCD
カテゴリー:審美修復治療
座長:土屋賢司

審美修復治療を行うにあたっては、顔貌の構成要素としての口元を単に美しく見せるということだけではなく、機能回復と残存組織の保全も当然必要とされる。
そのためには手技手法はもとより、的確な診査診断と、審美・機能・構造・生物学的要因を考慮した治療ゴールのイメージと補綴設計が求められる。今回の発表ではポーセレンラミネートベニアを中心に考察した審美修復治療の症例を提示し、初診時からどのような治療ゴールをイメージし治療を行っていったかを述べさせていただきたい。

07添島義樹(熊本) 前歯部開咬に対する修復治療の一症例

日曜日13:40~14:05
発表者:添島義樹  熊本県熊本市勤務
所属:熊本SJCD
カテゴリー:審美修復治療
座長:土屋賢司

修復治療の目的は、顎口腔系の不調和に対して機能、構造、生物学的恒常性を改善し維持していくことにあるが、患者の審美的要求に対しても応えていかねばならない。
患者は30歳の女性で前歯部の審美障害を主訴に来院。上下前歯部が離開した前歯部開咬症例であった。前歯部開咬は発音障害や舌の悪習癖に関与し、アンテリアガイダンスの欠如による臼歯部の負担過重や顎関節の不調和を惹起する可能性がある。また上下前歯切端の離開が著明な場合は、審美性を損なう原因にもなる。開咬の成因としては胎生期の発育障害、骨格の異常、口呼吸などが挙げられるが、上下前歯切端が完全に離開しているような咬合関係を正常な被蓋に改善する際には外科的、矯正的アプローチが必要となる。
今回、患者の有する歯列弓と舌の大きさとの不調和から生じたものと思われる前歯部開咬症例に対して外科的、矯正的アプローチ後に修復治療を行った症例を提示する。諸先生方のご指導、ご助言を仰ぎたい。

08青山貴則(北海道) SJCDコンセプトに則った、フルマウスリコンストラクションの1症例

日曜日14:05~14:30
発表者:青山貴則  北海道岩内郡岩内町開業
所属:北海道SJCD
カテゴリー:審美修復治療
座長:南昌宏

機能的、審美的問題の解決を目的とした全顎的歯冠修復治療は、SJCDが示すフローチャートに則って治療を行っていくことが成功への鍵となってくる。特に術前における診査、診断は最も重要なポイントであり、ここで取り上げる診査項目、診断基準が治療ゴールの良否を大きく左右する。その後、治療計画の立案を行った上で治療開始となるが、この段階でもそれぞれのステップにおける再評価を確実に行うことが、臨床上重要であると自分自身深く認識している。
今回、審美障害を主訴として来院された患者さんに対しSJCDコンセプトに則って治療を行った症例を報告したいと思う。患者は61歳女性で、歯肉退縮による審美障害を訴えて来院した。主訴は審美障害であったが、下顎(両側、片側?)臼歯部欠損が存在していることから、バーティカルストップの損失、残存歯への過重負担などの機能的な問題点がいくつか見られ、審美的問題を加えて全顎的観点から治療が必要な症例であることが確認できた。
そこで、診査、診断の段階から同世代の歯科技工士とディスカッションを繰り返し行うことにより審美的側面、機能的側面それぞれに対する問題点の解決策を検討し治療計画を立案した。そして、インプラント治療によるバーティカルストップの構築、プロビジョナルレストレーションステージでの顎位の安定、適切なアンテリアがンダンスの確立、歯周組織との調和等を確認の後、最終修復物によるフルマウスリコンストラクションを行っている。結果として機能的、審美的問題に対して一定の評価が得られたが、本症例を振り返ることにより診査、診断の妥当性、各々のステップにおける妥当性について再確認を行いたと思う。

09木村卓哉(大阪) Interdisciplinary approach to Esthetic and Functional improvement on SJCD guideline

日曜日14:40~15:05
発表者:木村卓哉   兵庫県神戸市開業
所属:大阪SJCD
カテゴリー:審美修復治療
座長:南昌宏

しばしば我々はどのように治療を行っていけばよいのかについて苦慮してしまうような非常に複雑なケースに遭遇する。しかし一見そのような複雑な症例でも、それぞれの専門的知識と経験をもつチームメンバーと共に、いままで学んできたEsthetic・Function・Structure・BiologyというSJCDの修復補綴治療におけるガイドラインと共通の治療ゴールに基づき治療にあたることで、確実で永続性のある治療結果を導くことができると考える。
今回は複雑な条件を抱え、審美改善および機能回復を考慮した治療した症例を提示したいと思う。

10中村茂人(東京) 顎位の考察を含めた包括的アプローチにより 審美的改善が認められた症例

日曜日15:05~15:30
発表者:中村茂人   東京都中央区開業
所属:東京SJCD
カテゴリー:審美修復治療
座長:南昌宏

審美修復治療の『審美』とは、下顎位や顎関節、口腔関連筋群、咬合といったマクロの評価から、歯頚ラインの設定、歯周組織との調和、マージンの適合、補綴物の色調や形態等のミクロの評価まで包括的な項目をクリアーしてこそ、はじめて結果として得られる『機能美』といっても過言では有りません。つまり考慮しなければならない事は無数にあり、これら全てを最初から予測するのは、大変難しい事です。そこで重要となるのが問診や診査によ
って得られる情報から『なぜ、この様な状態に陥ったのか?』といった原因論を考察し、それに対する治療予測を立てて次のステップにいくこと、そして再評価を繰り返して治療ゴールを目指す事であると思います。
今回の発表させていただく症例は、主訴がガミースマイルと正中離開でした。様々な診査の上で、医原性にて正中離開や顎関節症状、神経筋機構の不調和を来していると思われました。診査診断から先ず治療予測をたてて、その後マクロからミクロまで再評価を繰り返し、ステップごとに治療を進めた結果、考えていた以上の変化が認められた症例です。
『機能』と『審美』を追求した結果として、『機能美』が得られたと推測する症例を考察とともに報告させていただきます。SJCDの先生方、ご指導の程宜しくお願い致します。

11相宮秀俊(名古屋) インターディシプリナリーアプローチにおける治療ゴールの考察


日曜日15:40~16:05
発表者:相宮秀俊   愛知県名古屋市勤務
所属:名古屋SJCD
カテゴリー:インプラント

座長:伊藤雄策

歯科医療の目的は、機能性、審美性が確保され長期的に維持されていくこ とである。そのためには安定した上下の顎間関係、臼歯の咬頭対窩の関係で 確実な咬頭嵌合位が得られ、臼歯を守るように犬歯のガイダンスが1級にて 確立されていることが理想的である。
しかし、口腔内が崩壊をしていくケースは、どうであろうか? 臼歯関係 が、定まっておらず安定した顎位が得られていない場合は、我々の持ってい る治療オプションである矯正、審美補綴、インプラントを駆使しても口腔内 の状況をどこまで回復していく必要性があるのか判断することが難しいケー スも多い。

一般的に、治療の対象となる口腔内は、ディスクレパンシーがありスペー スが不足しているケースが多い。この場合、スペースの確保を目的に抜歯を 行った矯正を行い歯列、咬合の確立を治療目標とする事となる。しかし、先 天性欠如にて、もともと歯の数がすくない場合、必要以上にスペースがあり 矯正後の歯牙のポジションの決定に迷うことがある。本ケースでは骨格的に は3級、オープンバイト、6 本の先天性欠如を認める、等問題点の多い中 で、矯正、補綴、インプラントを用いて治療を行った。特にインプラントポ ジションには苦慮した。このケースを供覧し、診断、治療計画そして治療結 果についてご批判頂きたい。 

12勝田康弘(新潟) Implant埋入時の骨損傷とその動態

日曜日16:05~17:30
発表者:勝田康弘   日本歯科大学新潟生命歯学部歯科補綴学第2講座
所属:新潟SJCD
カテゴリー:インプラント
座長:伊藤雄策

現今のインプラント臨床は膨大な研究と臨床データーに裏打ちされた集積追求により患者、術者にとり理想に近いレベルまで到達し口腔再建の重要性を高め歯科医学で広く認識されている。しかし、より高い歯科臨床回復治療の水準からみると、現状の不充分さを認めざるを得ないのも事実である。
今回、インプラントの長期的成功に導く為の要因のなかで、特に重要なインプラント部位の初期段階での治癒に関して特異な治験例を得た。インプラント埋入には、形成ドリリング、回転数、回転力、回転スピード、埋入方向、インプラント長径、幅径、埋入部位の骨量、骨質等が大きく影響する事は周知の通りである。特に骨治癒過程における熱産生による危険因子や、骨の耐壊死温度について、サージカルガイドドリル法の有無によって生じる骨の熱生体の反応と推移を臨床例を提示し基礎医学に述べ、諸先輩に厳しいご助言と御指導を仰ぎたい。

13髙橋聡(福岡) Full mouth restorations considered surgicaland prosthetic strategies for implant placement

日曜日16:40~17:05
発表者:髙橋聡   福岡県直方市開業
所属:福岡SJCD
カテゴリー:インプラント
座長:小濱忠一

長年成功率で語られてきたインプラント治療は、近年インプラント周囲炎等の合併症発症率で検討される傾向にある。さらに、有病高齢者が急増傾向にある我が国においては、外科を伴う再治療介入が困難な場合も少なくない。
このため、より合併症に配慮した、外科的・補綴的治療戦略が治療計画により強く求められる。
今回、治療開始時年齢70歳の男性に対し、インプラント埋入時期に配慮した治療計画を立案し、低侵襲かつ予知性が高いと考えられる外科的・補綴的処置を段階的に進めた全顎治療を経験したので報告する。

14川本亨(広島) インプラント周囲組織の審美的回復を困難にする生物学的リスクファクターについて検討を要した一症例 ~上顎前歯部複数歯インプラント治療における必須概念~

日曜日17:05~17:30
発表者:川本 亨   岡山県浅口郡里庄町開業
所属:広島SJCD
カテゴリー:インプラント
座長:小濱忠一

近年のインプラント治療の臨床的有用性は、患者のQOLの向上に多大な恩恵をもたらしている。
とりわけ前歯部のインプラント治療では機能性の回復だけでなく審美性の回復が重要なゴール設定となる。
全ての歯科治療のゴールは、科学的根拠に基づいた診査・診断により治療計画を立案し、適切な治療概念・治療戦略にそった最適な治療方法を選択・遂行することにある。
ところがインプラント治療を進めていく上で、硬組織の再生量不足・軟組織の退縮・歯間乳頭の喪失といった予測の難しい問題が、術前・術中・術後において知識・経験・スキル不足な歯科医の頭を悩ませる。
今回、前歯部6本の審美領域インプラント治療症例について、浅い埋入深度に対するリカバリーを含め、多くの学ぶべき点・反省点・考察点を通して症例の報告をおこなう。

15伊藤秀寿(東北) インプラントを用いた咬合崩壊へのアプローチ

日曜日17:30~17:55
発表者:伊藤秀寿   宮城県仙台市開業
所属:広島SJCD
カテゴリー:インプラント
座長:小濱忠一

インプラントは十分な骨が存在し、特異な咬合関係や解剖学的な制約を受けない部位においては、非常に容易な処置となる。しかし、埋入に先立ち、歯の喪失もしくは抜歯に至る既往を鑑みると、歯牙欠損部の多くは骨量・骨質に問題があり、下顎管や上顎洞との位置関係に憂慮を要する場合が少なくない。
特に、上顎骨は骨密度が疎な海綿骨が主体であり、上顎洞を有している。故に、歯牙欠損等により、垂直的、水平的に骨量が不足した際に、その解剖学的特徴からインプラント埋入に不利な制約を受けることが多い。また、上顎洞は血流が豊富とは言えない含気腔であり、骨補填材による骨造成を一層困難にする。
今回、上顎臼歯部歯槽骨高度吸収により上顎洞底部までの垂直的歯槽距離が短く(最短部2㎜以下)、多数歯齲蝕を伴ったEichenerの分類B-4の患者に対して、サイナスリフト同時埋入を行い、ジルコニアクラウンを用いて全顎的治療を行った症例を供覧させていただく。

21-A-1山﨑長郎 人生を語る

人生を語る

序文

山﨑長郎 MasaoYamazaki
原宿デンタルオフィス

我が歯科医師としての人生を振り返る24歳で東京医科歯科大学を卒業して44年間の長さに渡り歯科治療に携わり継続して行ってきました。今振り返って歯科人生を考えると大きな転換期がいくつかあり、時代の変遷と照らし合わせてみると間違いのない方向性をその時点で修正し進んで来たような気がする。今回私の歯科医としての人生に交えて臨床症例を説明してみたい。

歯科医としての自己変革の経緯

大学を卒業したと同時に国内卒後研修を受講した事が、私の歯科医としての人生を一変させた。通常の学校教育と一戦を画す米国の最新の知識と技術がそこにはあった。学生時代の歯科医療に対する考え方を根底から覆す歯科における夢と希望に満ちあふれていたのである。この時より、私は新たに歯科医としての自覚と情熱を持ち始めていた。そんな時期に、米国研修の機会を体験し、ますますそこにのめり込む事となった。
帰国後、どうしても東京で開業したいと言う思いが断ち切れなく、両親の開業していた長野を断念するに至ったのである。28歳で原宿で開業し臨床医として忙殺されていたが、その間10年近く年に数ヶ月は米国の研修及び見学を続けていった。これにより、臨床医としての確立がなされていったが、それと同時に勉強会を立ち上げ、研修による後輩の指導も行い始めた。最初は数人からスタートしたスタディクラブも現在は全国で1700人を数えるに到った。最初は咬合を中心とした補綴治療がメインであったが、その後、歯周治療の重要さを認識し、それに付随するエンド・矯正を取り入れた包括的歯科治療を実践するに到る。その後数十年はこの包括歯科治療を行っていたが、久しぶりにある機会があり、遠ざかっていた米国を訪れると、歯科治療の様相は変化していて唖然とした。それは、インプラント治療と審美治療の隆盛であった。これより人生において、この二つを習得する為、最も勉強をした時期となり、現在に至っている。
この様に歯科医は、様々な出会いの中から触発され、歯科医としての本分に目覚めていかなければならない。以上、卒業から現在私の臨床研究は臨床的な修復治療の分類をし、明確に捕らえ所のない臨床基準を確立する事にある。
以下に、日本補綴学会のグレーターニューヨークと合同のインターナショナルカンファレンスに発表した分類を呈示する。審美修復治療を高い到達点に導く為には、各分野(エンド、矯正、歯周、インプラント、咬合)との連携が必要となる。即ち、その症例において何が問題点となっているのか明確にし、どの分野の治療が必要となるか見極める事である。
Kay’s classificationはclass1~class4に分類されており、class1は口腔内の構造的問題が無く、審美性が当該歯のみなので、容易に確立される。Class2は歯周・矯正的問題が存在しており、それを解決しなければならない。Class3は口腔内に構造破壊が進んでおり、咬合を考慮した再構成が必要とされる症例である。Class4は顎変形症等の外科矯正を行わないと構造、審美性がなされない症例を言う。
私の分類Type of patientは最も明確で臨床的にどの分野の治療が必要か呈示している。Type1は補綴のみの治療で審美性を確立可能な患者であり、Type2は歯周、矯正と二つに別れて、ストレートに歯周外科あるいは歯の位置を修正する為の矯正がType1に戻す為必要であると分かる様になっている。

3 Esthetic Classifications

  • Table1 Kay’s classification of altered dental esthetics(Adapted from Kay)
    • Class1 Intact esthetic framework(esthetic restorative case requiring little improvement)
    • Class2 Minor alterations esthetic framework(esthetic restorative case requiring slight improvement) 
    • Class3 Significant alterations in esthetic framework(esthetic restorative case requiring large improvement) 
    • Class4 Orthognathic deformities (esthetic restorative case requiring maxillofacial improvement)
  • Table2 Classification of patient type. 
    • Type1 Restorative patient
    • Type2
      •  i)Orthodontics-restorative patient
      •  ii)Peripdontics-restorative patient 
    • Type3
      •  i)implant –restorative patient
      • ii)Periodontics-orthodontics-implant-complex-restorative patient
    • Table3 Classification of restorative design
      • Class1 Adhesive composite resin
      • Class2 Veneers
  •  Division1 Partial veneers
    • i)Porcelain inlays and onlays
    • ii)Porcelain laminate veneers 
  • Division2 Full veneers
    • i)All-ceramic restorations 
    • ii)Metal-ceramic restorations

21-B-1 本多 正明 若き君たちへ


若き君たちへ


本多 正明 Masaaki Honda 
本多歯科医院 
歯科大学を卒業して44年経った現在、どんな歯科医師としての人生を歩んできたかを今
一度、振り返ってみたい。まずは、歯科医師としての第一歩をどんな気持ちでスタートしたのか、また、第一歩を踏み出すにあたって、幼少期から青春時代を振り返り、私自身が人として、どのように成長してきたかを反省も含めて話してみたい。次に、歯科医人生で転機とった師や仲間との出会い。また、一社会人としての生き方、考え方を学びながら、歯科臨床の知識や技術を仲間と共に、どのように勉強し実践してきたかを述べてみたい。
そして当時、勉強して身に付けたことが現在の歯科医師としての基礎になっている。
“基本があって初めて応用が利く”昔の写真や臨床ケースを使いながら次世代のメンバー
に私の歯科医としての思いを述べてみたい。

21-B-2 原田 和彦 技を極める

技を極める

原田和彦 KazuhikoHarada
秋葉原原田歯科クリニック
SJCDで活躍されている多くの先生達が改めてどのようにしているか考えてみましょう
山崎先生であれば歯周補綴から審美そして全顎補綴のインプラント、小濱先生は前歯インプラントの審美です。しかも日本のトップクラスです。このようなことは誰にでもできることではないと思っていませんか。いいえ、違います。誰にでも十分な可能性があるのです。ポイントはどんなことでも、どんな小さいことでもいいのですが研究する目標を作ることです。そして日本中いや世界中のリサーチをして自分なりの結論を導くことです。
決して難しいことではありませんが「継続したい強い意志」だけが必要です。
皆さんも「自分の目標」を決めてみませんか。
これが「技を極める」第一歩となるのです。

21-C-1 茂野啓示 発信する医療 「変わらない歯科の本質と再生医療の現状について」 

発信する医療「変わらない歯科の本質と再生医療の現状について」

茂野啓示KeijiShigeno
北山茂野歯科医院
我々SJCDは故Dr.Raimond Louis KIMの歯科に対する治療コンセプトに則り早、四半世紀を過ごしてきた。人の生物学的な本質を見失わず、常に治療とその検証を続けるという作業を、根気よく地道に続ける事の意義を問われ、その実践に四苦八苦しながら現在に至っている。我々は素晴らしい師を得、今それを引き継ぐ若い歯科医が沢山育ってきている。今一度、師の残してくれた遺産である症例に触れながら、我々SJCDの本質を再考してみたい。また現在再生医療研究の一端を担っている人間として、簡単にでは有るが再生医療の本質的な考え方について述べてみたい。

21-C-2 皆川 仁 スタッフ教育の実際

スタッフ教育の実際

皆川 仁 Hitoshi Minagawa
皆川歯科クリニック
患者に選ばれる歯科医院とは?
その一つに病院スタッフが安定している事があげられます。
お互いが信頼でき、尊敬できる関係があって医院経営は安定するものと考えます。
中でも一番難しい問題はスタッフとのコミュニケーションです。
スタッフとのコミュニケーションが円滑で無ければ治療にも影響が出てしまい、結局患者が来院しなくなります。
今回、新たに病院を増築し再スタートを切るにあたって、スタッフと話をしながら色々な決めごとやマニュアルを作りました。
Drサイドからわかって欲しい事とスタッフサイドからの不満や意見を提示し、その考え
の違いや解決方法を意見できる時間にしたいと思います。

21-D-1 添島正和 プラス10年長生きして歯科人生を楽しむコツ

プラス10年長生きして歯科人生を楽しむコツ

添島正和 Masakazu Soejima
添島歯科クリニック
還暦を過ぎると普通、体のあちこちにガタがくる、そういう私も例外ではない。我々世代は、若い時と比較して足の筋肉量が30%から40%減少するといわれている。当然、体を支える筋肉量が減少すればいわゆるロコモティブシンドローム(運動機能障外)を起こすことになる。特に閉経後の女性はホルモンの関係上、骨粗しょう症による骨折のリスクも高くなり、寝たきりへの道をたどることになる。一方、若い世代でも病に倒れ社会生活に支障をきたしたり、不幸にして命を落とした身近な例をわたしも経験している。これらを事前に回避し、介護される側にならないためには貯筋と血管の若返りがキーポイントになる。

21-D-2 木原敏裕 プロフェッショナルとは

プロフェッショナルとは

木原敏裕 Toshihiro Kihara
木原歯科医院
歯科医師の仕事はプロフェッショナルな仕事である。
知識と技術を駆使して最善をつくす、はずであるが日本では保険制度が存在するために時間と点数に制約され、仕事として満足のいかない状況で毎日を過ごしているドクターが多いのではないだろうか?本来我々の仕事は何分以内でとか、この材料でしかできない、というものではなかったはずである。大学を卒業して最初の段階から保険治療に埋もれてしまい本来の歯科治療とは何か、ということを術前にすべて準備した上で仕事を行えば必ず安定した術後の状態が得られるはずである。
この時間帯においてはプロフェッショナルとしての考え方を中心に成功する歯科治療とはどういったものであるか、ということを皆さんと一緒に考えてみたい。

21-E-1 伊藤雄策 技を語る ー予知性の高いインプラントを目指してー

技を語る-予知性の高いインプラントを目指して-

伊藤雄策 Yusaku Ito
伊藤歯科医院
今日、インプラントは欠損補綴になくてはならないツールとなり、我々SJCDでもその有益性は、高く認められるところである。本来インプラント治療は、補綴主導型の治療であり失われた組織をいかに回復した上で如何にインプラント治療を行うかの診断が肝要となる。今日、インプラントの予知性をさらに高めるためには、総合的診断の上に、まず、インプラントシステム自体のハードを熟知し、その上で最新のエビデンスに基づいた手技・技術をもって行えば、間違った道に行くことはないと確信する。本セッションでは、故レイモンドキム先生から教えを頂いたことを基礎とし、名古屋SJCDの吉木先生と共に歩んできた歯科人生を振り返りながら、私の最新の臨床症例を御供覧頂きたいと存じます。

21-E-2 吉木邦男 人を動かす

人を動かす

吉木邦男 Kunio Yoshiki
吉木デンタルクリニック
歯科医療で[人を動かす]とは、患者様とのコミュケーション・スタッフ管理・スタディグループ活動が思いつきます。この機会にSJCDで人(会員)を動かす(活力ある例会活動)を考えてみましょう。名古屋SJは発足から20年余り経過しコレステロールが溜まる様に問題が出始めてきました。SJの活力ある活動を行なうには

  • 強力なリーダーシップ名古屋SJは発足当初より本多・伊藤両先生にハンズオンコースを13年間開催して頂きモチベーションの維持ができましたがコースも終了しこれからを模索しています。
  • 幅広い年齢と治療経験を越えたプログラム63~24才幅広い年代や臨床経験の差が若い先生方を萎縮させている。(古参の先生は表情が強面・ゆとり世代とは違う常識)
  • 都会SJと地方SJの格差地方SJでも都会SJの最新治療の輝きに負けない診断力を高め医療人の品格を維持するには。
今回細山先生の企画を利用し先生方とSJ活力アップの術を語り合いましょう

21-F-1 寺西邦彦 成功の秘訣を語る

成功の秘訣を語る
寺西邦彦 Kunihiko Teranishi
寺西歯科医院









21-F-2 小濱忠一 人の感性

人の感性

小濱忠一 Tadakazu Obama
小濱歯科医院




21-G-1 鈴木真名 敗北からの勝利

敗北からの勝利

鈴木真名 Masana Suzuki
鈴木歯科医院
よく言われる事に“失敗は成功のもと”といった言葉がある。
多くの者がミスをし、失敗をする。もしそれが勝負であれば負けという事になるが、成功者はここから立ち上がっていく。彼らはどう考え、行動し、勝利につなげていったのであろう。私自身の経験そして著名人達の話から、来場した先生方と飲みながら語ってみたい。

21-G-2 岡口守雄 日本の歯科が世界をリードする

日本の歯科が世界をリードする

岡口守雄 Morio Okaguchi
岡口歯科クリニック
日本は古来、匠の技を持つ職人たちが、様々な分野において卓越した仕事をしてきました。この細やかな仕事ができる遺伝子を受け継いでいる日本人は歯科において最も適した民族といえるのではないでしょうか。また、戦後の日本が高品質な製品を生み出してきた要因は、このような遺伝子に加え、欧米の模倣とデミング博士による品質管理を導入したからと言われています。デミングは、製品を作る多くの工程の1つ1つで不良品がない状態を確認し、次に移っていくことが、品質を向上する最も大切なことであると説いています。この考え方は、日本の多くの企業で導入され、実践されています。歯科においてもこの品質管理の方法は、より高いレベルの治療を行うためには必須となるでしょう。そして、それを実践することにより、日本の工業製品と同様に日本の歯科治療も世界をリードできるレベルに到達するでしょう。今回、この考え方の歯科での応用と日本の匠の技も合わせて紹介したい。

21-H-1 土屋和子 聞く耳を持たせる会話術

聞く耳を持たせる会話術

土屋和子 Kazuko Tsuchiya
株式会社スマイル・ケア
長い間、私は「正しいことを正しく一生懸命に伝えたら、ひとは理解してくれる」そう思っていました。しかし、それは大きな誤りでした。セルフケアの大切さを伝えても歯間ブラシの使用は定着しない。メンテナンスの重要性を伝えても緊急時にしか来院しない。在庫管理の責任を伝えても忘れることがある。・・・そんな“思うように伝わらない”コミュニケーションを回避したい。もっと理解が得られるように、行動を変化させてもらえるように話がしたい。きっと、多くの方がそう願っていることでしょう。
「聴く耳を持たせる」ためにはちょっとした学びが必要です。歯科医療分野に特化したコミュニケーション学である“デンタルNLP®”での「価値観を知る:バリューの導出」と「ユニバーサル4Mat」をご紹介しましょう。
人が何に価値を置くのか?まず、その価値を知り、その価値に沿ったコミュニケーションによって成果が得られます。そして、世界的に認知された効果的な説明法である「ユニバーサル4Mat」を用いて、よりスムーズに誤解のない会話が簡単にできるようになります。あなたがコミュニケーションに自信が持てるように、ぜひ、ご参加ください。

21-H-2 植松厚夫 ここの豊かさ 〜笑顔〜

心の豊かさ 〜笑顔〜

植松厚夫 Atsuo Uematsu
ウエマツ歯科医院
表情の中で最も美しいのは“笑顔”といわれ、相手の心を思いやる時に表れる心の表情といわれています。例えば、初対面の相手への不安感や警戒心を取り除く、失意の一人を励まし支える、わずかな時間で相手に心を伝えることができる。etc....様々な効果があります。
私たち歯科医師の仕事は、ただ会話や食事をできるようにするだけでなく、楽しく会話や食事をできるようにすることが大切な目的であると思います。歯科医療は美しい笑顔がつくれる仕事であり、笑顔を取り戻した症例を通して“心の豊かさ”について考えてみたいと思います。

21-A-2 大河 雅之 審美歯科の最前線

審美歯科の最前線

河 雅之 Masayuki okawa   
代官山アドレス歯科クリニック
審美修復治療は、バイオミメティクスアプローチという考え方の浸透接着技術と疾患の原因に対するアプローチが進んだ現在、必要最小限の処置で適切な効果をあげる治療が目指されている。
技術的にはマイクロスコープの応用により高い精密性と予知性が得られてきている状況にある。また、治療における専門性はより高度になり、最良の審美的結果を得る為にはチームアプローチはかかせないものとなっている。スペシャリストが集まり、考えぬいた治療計画とそのシークエンスは無駄がなく結果としてMIへとなっていく症例が多い。インターディシィプリナリーアプローチ成功のための鍵は、治療計画段階からの専門医間の密な連携と治療のゴールのイメージを相互に共有することにある。
本公演では審美修復治療におけるMIを考慮した治療計画立案とその臨床術式、ボンデッドポーセレンレストレーションにおけるマイクロスコープの有用性及び、インターディシプリナリーアプローチのマネージメントについて臨床症例を通して解説したい。